PJねじとは いまさら聞けない給水栓取付ねじ(PJねじ)について

様々な水道資材がネットで手に入る昨今、水栓金具の修理などで取付ねじの規格を調べているとRねじ、Gねじ等の記号が出てきます。

 少し調べればRねじとGねじの違いは分かるのですが、実際に水栓金具をねじ込む部分であるおねじ規格のPJねじについてはいまいち理解できない方へ本記事を作成致しました。

ご参考になれば幸いです。

早速ですが、給水栓取り付けねじ/PJねじとは

ねじの種類    ねじの規格  記号  表示例 
給水栓取付ねじ JIS B2061 PJ PJ1/2

給水栓は様々な場所に給水配管の末端として取り付けられます。

閉塞した場所などで立ち上がる配管に吐水口の向きや高さを調整し取り付けできるように、

シールテープ接続(Rねじ)、パッキンでの接続(Gねじ)に対応しているおねじの種類

すこしピンとこないので、下記記事にて詳細をご説明いたします。

  1. Rねじ、Gねじ、PJねじとは
    1. Rねじ(テーパーねじ)、Gねじ(平行ねじ)の確認
    2. Rねじ、Gねじ、PJねじの規格詳細
      1. Rねじ(管用テーパーねじ)補足
    3. PJねじ、Rpねじ詳細
    4. PJねじ(平行おねじ)とGねじ(平行おねじ)の違い
      1. Gねじ詳細:基準寸法・寸法許容差
      2. PJねじ:基準寸法・寸法許容差
    5. PJねじ(おねじ)、Rpねじ(めねじ)の必要性
  2. PJねじ 給水栓取り付けねじとは
    1. Rねじ、Gねじ、PJねじ図面スペック
      1. Rねじ/管用テーパーねじ/一般的な給水管
      2. Gねじ/管用平行ねじ/温水洗浄便座の分岐金具
      3. PJねじ/給水栓ねじ/万能水栓
    2. Rねじ、Gねじ、PJねじのねじ部を拡大
    3. Rねじ、Gねじ、PJねじ部の比較
    4. Rねじ、Gねじ、PJねじ部の違い
      1. Rねじ、PJねじ画像比較
    5. PJねじ取付参考事例解説
      1. 立型自在水栓
        1. 接続①:立型自在水栓(PJおねじ)→ステンレスフレキホース(Gめねじ)
        2. 接続②:ステンレスフレキホース(Gめねじ)→ストレート止水栓(Gおねじ)
        3. 接続③:ストレート止水栓(Rおねじ)→座付き水栓ソケット(Rpめねじ)
      2. 浴室壁付け混合水栓
        1. 接続①水栓取付脚(PJおねじ)→ザルボ(Rpめねじ)
        2. 接続②:ザルボ(PJおねじ/Rおねじ)→水栓エルボ(Rpめねじ)
        3. 接続①:水栓取付脚(PJおねじ)→ユニット取り出し金具(Rpめねじ)
  3. PJねじ 給水栓取り付けねじとは まとめ

Rねじ、Gねじ、PJねじとは

最初に、一般的な給水接続の各ねじ組み合わせ対応表を確認致します。

1行目:おねじ 左1列目:めねじ

  ねじの組み合わせ(管用テーパおねじG(管用平行おねじPJ(給水管取付おねじ
Rc(管用テーパめねじ シール巻× シール巻
Rp(管用平行めねじ シール巻× シール巻
G(管用平行めねじ× パッキン接続 パッキン接続
SUS配管の大手メーカーベンカン様のサイトより引用

PJねじ(おねじ)が、Rc、Rpねじ、Gねじの3つのめねじに対応している事がわかります。

Rねじ(テーパーねじ)、Gねじ(平行ねじ)の確認

テーパーねじ、平行ねじに関して再確認致します。

テーパーねじ/Rねじ

先端部分が細くなっているねじ。先端部分が細くなっているため、徐々にねじ山が広がりながらねじ込むことで、締め付けができます。

管用テーパーねじ、Rねじ(おねじ)/Rcねじ(めねじ) は、ねじ込んでいくとおねじとめねじがかみ合うので耐密性が高い。給水配管工事における直管と継手の接合に使用されます。

シールテープやシール剤を使用して施工します

平行ねじ/Gねじ

ねじ山が平行になっているねじのことを指します。平行ねじは、一般的には組立用途や機械部品などで使用されます。

おねじとめねじが平行なのでねじ込んでいくと、おねじの先端がめねじの最後の部分に突き当たるまでねじ込めます。ネジ部のかみ合わせは緩く耐密性がないので止水能力はありません。

ねじ先端にパッキンを挿入して止水します

平行ねじは、一般的なボルトと比べ、締め付ける力が均等にかかるため、締結部品を歪めにくく、高い締結力を得ることができます。

管用テーパねじは、水道管やガス管など、流体や気体が漏れると困る場合に使うねじです。その用途を耐密結合用といいます。

管用平行ねじは、基本的に耐密性が不要な場合は管用平行ねじが使われます。その用途を機械結合用といいます。おねじもめねじも平行です。管用平行ねじのGは、おねじもめねじも、ねじ記号はGです。水道配管ではパッキンを挿入して止水します。

Rねじは「おねじがテーパージーンズのように先細りになってしっかりねじ込めるのね」

✔Gねじは「パッキンを使って袋ナットで締めることができるのね」

ここまでは検索すれば分かるのですが、PJねじ(給水栓取付ねじ)Rp(テーパーおねじ用平行めねじ)に関してはなんとなく給水栓のねじ記号の認識かもしれません。

それでは、少し深堀してみます。

Rねじ、Gねじ、PJねじの規格詳細

宅内給水に関連する3つのねじ(Rねじ、Gねじ、PJねじ)を下表にまとめました。

それぞれJISの規格があり、1/2サイズを例に山数、ねじ山の角度、外径も同じ事が確認できます。

メイン配管の給水管ではがっちり強固な接続の為にRねじ(テーパーおねじ)とRc(テーパーめねじ)が組み合わされることは理解できます。

Rねじ(管用テーパーねじ)補足

Rねじ(管用テーパーねじ)の印象を深める為の補足です。

  • はドイツ語Rohrgewindeより、管用ねじを意味する「ローゲビンデ」
  • Rcのcはconeよりコーン(先細り)
  • Rpのpはparallelよりパラレル(平行)
  • 下図より1/16の勾配がある(片側の勾配角は、0.5/16、片角1°47’23”のテーパー)

【JIS B0203より抜粋Rねじ詳細】

PJねじ、Rpねじ詳細

メイン配管の給水管でのRねじーRcねじの組み合わせは理解できますが、冒頭の表でのPJねじ(給水栓取付用平行おねじ)とRp(テーパーおねじ用平行めねじ)の存在がピンときません。

Rpねじテーパーおねじ用平行めねじって・・・ややこしい”  
”PJねじってなに?”

では、上の表より、PJねじ(おねじのみ)とGねじのおねじが平行ねじで同種であることが分かります。

その違いを確認します。以下、JIS規格より抜粋画像です。

PJねじ(平行おねじ)とGねじ(平行おねじ)の違い

PJねじとGねじの詳細スペックを確認します。ここでは細かい数値は無視ください。

確かに基準寸法(山数、ねじのピッチ、外径、等)は同じですが

PJねじとGねじに寸法許容差の違いがある事が分かります。

Gねじ詳細:基準寸法・寸法許容差

【JIS B0202より抜粋Gねじ詳細】

✅Gねじはのgはgas threadよりガス

PJねじ:基準寸法・寸法許容差

【JIS B2061より抜粋PJねじ詳細】

PJおねじは、Gおねじと基準寸法は同じですが、製作上の寸法許容差が違い、Gおねじよりもねじ山が若干小さい仕立てです

また、Gおねじはねじの谷の径の寸法許容差が規定されていませんが、PJねじは谷の径にも寸法許容差の規定があります。

→PJねじ(おねじは)Rc、Rp、Gの3つのめねじに対応できる”遊び”があるイメージです。

PJねじ(おねじ)、Rpねじ(めねじ)の必要性

PJねじは寸法許容差があり小ぶりな仕立てとなっている為、3つのめねじに対応してる事が分かりました。

では、なぜPJねじが必要なのでしょうか。

Rp(テーパーおねじ用平行めねじ)とPJねじの必要性を確認します。

代表的な例をご紹介します。下記画像はオンダ製作所様、座付水栓エルボ カタログ抜粋です。

水栓金具と、取り付ける水栓エルボのねじ記号はそれぞれPJ(おねじ)Rp(めねじ)です。

確かに給水栓もテーパー接続でガッチリ止水すべきではと感じるかもしれません。

しかしながら、テーパー接続の場合ガッチリかみ合った位置では取り付ける給水栓吐水口の向きの調整しろがほとんどありません。

それ故に、シールテープで調整可能な平行ねじ同士の接続が必要なのです。

また、Gねじ(平行おねじ)テーパーめねじの組み合わせはおねじとめねじの接地面が小さすぎてNGです。(冒頭の対応表、下図ご確認下さい)

それ故に、Rねじ(テーパーおねじ)に対応した平行めねじのRpねじが存在し、小ぶりな仕立ての平行おねじであるPJねじに対応しております。

実際にねじ込んでみればPJねじのねじ込み感触は分かるので、ホームセンター等で試してみて下さい。

・水栓金具の吐水口は下向きにする必要性がある

・建築側の仕上がり(ボード+パネルorタイル等)より壁の厚みに対応する必要性がある

→PJねじのねじ込みしろで取り付け位置(向き)を調整する為、おねじ、めねじ共に平行ねじの必要性がある

シールテープの巻き数も重要な調整ポイントです。

PJねじRpねじの必要性と管用ねじ組み合わせ表のご理解が深まれば幸いです。

PJねじ 給水栓取り付けねじとは

それでは、Rねじ、Gねじ、PJねじを住宅で使われる馴染みのある器具の参考画像、スペックにて確認致します。

Rねじ、Gねじ、PJねじ図面スペック

1/2の表記は管の呼び経で、一般的に宅内に敷設される給水管の太さのサイズです。

製品の画像と図面のスペックを確認します。

Rねじ/管用テーパーねじ/一般的な給水管

Gねじ/管用平行ねじ/温水洗浄便座の分岐金具

PJねじ/給水栓ねじ/万能水栓

Rねじ、Gねじ、PJねじのねじ部を拡大

次に問題のネジ部の画像を確認してみましょう。

Rねじ、Gねじ、PJねじ部の比較

下図3種類のねじ接続部の違いが判るでしょうか

Rねじ、Gねじ、PJねじ部の違い

外見上の大きな違いは、Gねじ同様にパッキン接続ができるのがPJねじです。厳密には、若干小さめの平行おねじの仕立てとなっています。

 また、上画像の各おねじのねじ部の長さの違いは分かるでしょうか。Rおねじ、PJねじ共に全長すべてにねじが切っています

住宅設備において、Gおねじは袋ナットでのパッキン挿入接続がメインの為、ねじ部の長さが短い事も見分ける違いのポイントです。

Rねじ、PJねじ画像比較

また、下記2画像ご確認下さい。

●左金具:Rねじ(アングル止水栓) ●右金具:PJねじ(バス水栓取付け脚)

PJねじの方がねじ部が長く、管も肉厚です。

水栓金具はハンドル開閉の作動時に常に力がかかります。PJねじは水栓金具がしっかり固定されるように肉厚でねじの差し込み調整しろが担保されております。

一方、給水管は基本的にサドルバンド等の配管支持金具で壁(建築側)にしっかり固定されるため、PJねじほど堅牢な仕立てではありません。

シール材の巻く回数(厚さ)を調節してRpねじ(テーパー用平行めねじ)Rcねじ(テーパーめねじ)に差し込めます。

パッキンを挿入してGねじ(平行めねじ)に対応。Gねじは住宅給水器具では袋ナット接続 メーカー製品間の接続がメイン。

■PJねじは水栓金具の開閉動作に耐えられるように肉厚で堅牢な仕立て

PJねじ取付参考事例解説

水栓金具と配管との間に連結させる管(継ぎ手)を挿入させ接続されます。

水栓金具に接続される継ぎ手の一例画像です。下記ご参考下さい。

立型自在水栓

一度は見たことのある立型自在水栓のねじ接続について解説致します。

接続①:立型自在水栓(PJおねじ)→ステンレスフレキホース(Gめねじ)

立型自在水栓本体の取付ねじは様々な厚みの台に取付けできるように長くPJねじの規格です。

流し台裏の閉塞した場所でも柔軟に対応できるようにフレキホースの袋ナットGねじにて接続可能。

接続②:ステンレスフレキホース(Gめねじ)→ストレート止水栓(Gおねじ)

・ストレート止水栓の頭部分(2次側)のGねじにてフレキホースの袋ナットGねじにて接続。

・止水栓本体部はRcめねじで給水管のRおねじをねじ込みがっちりテーパー接続。

*止水栓本体と給水管の接続では向きは配慮する必要はない

接続③:ストレート止水栓(Rおねじ)→座付き水栓ソケット(Rpめねじ)

建築側(床面)に座付きの水栓ソケット(Rpめねじ)にて固定され、Rおねじのストレート止水栓をねじこんでも止水栓ハンドルの向き(操作できるようハンドルを前に設置)が調整可能です。

*座付きの水栓ソケットは本体の座で床にビス固定できる為、止水栓をねじ込んでも供回りしません。

*画像はHI用です。樹脂管用等、建築側の配管に合わせて選定されます。

浴室壁付け混合水栓

浴室壁付けサーモバス水栓のねじ接続について解説致します。

サーモバス水栓取付け脚の水栓本体側はGねじ 壁側(建築側)はPJねじ

【下記湿式工法(タイル壁仕上げの場合)の参考事例】

接続①水栓取付脚(PJおねじ)→ザルボ(Rpめねじ)

・設備工事店(水道工事店)が水栓エルボ(水側:HI/湯側:銅管)で配管を仕込んでいた。

・タイル壁の仕上がりが仕込んだ配管より前に出た為、水栓持ち出しソケット(ザルボ)を差し込み15mm前に出して調整。

・タイル壁仕上げ面に合わせて水栓取付脚(PJねじ)をザルボ(Rpめねじ)にねじ込む。

・PJ-Rp接続より水栓取付脚の湯・水側が”ハの字”になるように調整して取付、水栓本体はGねじで固定。

バス水栓取付脚 PJねじ調整後の”ㇵの字”の位置
接続②:ザルボ(PJおねじ/Rおねじ)→水栓エルボ(Rpめねじ)

ザルボ(PJ/Rおねじ)から水栓エルボ(Rpめねじ)への接続は、吐水口などの向きの関係はありません。製品の特性上ねじの部の長さも短いのでしっかり最後までねじ込み接続されます。

【システムバス(ユニットバス場合)の参考事例】

システムバス、いわゆるユニットバスの場合は湿式工法とは違い、バス水栓がメーカーの設計通りにシステムバスの壁面に取付けられます。ザルボなどの現場調整は不要。

水栓取付部(システムバス壁面固定金具)の形状は各メーカーの仕様により異なりますが水栓接続部はRpめねじです。

接続①:水栓取付脚(PJおねじ)→ユニット取り出し金具(Rpめねじ)

PJ-Rp接続より水栓取付脚の湯・水側が”ハの字”になるように調整して取付、水栓本体はGねじで固定。

PJねじ 給水栓取り付けねじとは まとめ

 給水管は常時水圧がかかるため、本来ならRねじ(おねじ)-Rcねじ(めねじ)の管用テーパーねじでガッチリかみ合わせてシール材を巻く接続が基本です。

 昨今では、宅内給水配管は架橋ポリエチレン管等の樹脂管でのジョイント接続が主流となり作業のばらつきが軽減されております。

 しかしながら、給水栓(水栓金具)は宅内配管の末端に取り付けます。壁付け場合は壁の仕上げ方、ボードにパネル仕上げ、タイル仕上げ、等。キッチン、洗面等の台付けの場合は取り付ける台の厚み等に左右されます。どうしても取り付ける建築物との取り合い(微調整)が必要です。

PJねじはこれらの状況に対応し、水栓金具を現場に応じて取り付け、給水接続が可能です。

PJねじ/給水栓取り付けねじ まとめ
  • 水栓金具は給水配管の末端に取り付ける為、様々な接続に対応するおねじ
  • 平行ねじの特性があり、取り付け位置(高さ)、吐水口の向き等の最終調整が可能
  • シール材の巻き方(厚み)を調整しRp(テーパー用平行)/Rc(テーパー)の各めねじにねじ込み可能
  • Gねじのパッキン接続にも対応しており、閉塞部でのフレキナット接続も可能

PJねじ(おねじ)は管用3種(Rp、Rc、G)テーパー/平行めねじに対応する汎用性があります。それ故に取り付ける際、めねじ側の状態確認が必要です。

事前にねじ込みの回転数(どこまでねじ込めるのか)を確認、シール材の厚さ(巻き数)、パッキン有無等、適した接続が必要です。

一見同じように見えるねじ接続も、それぞれ背景や用途が存在します。それらを把握し正確な施工が肝要です。

水道配管は建築では血流に例えられます、社会インフラを支える水道事業のご参考になれば幸いです。

ご拝読ありがとうございました。

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