公共下水道の整備による水洗トイレの洋式化~高度経済成長がピークに達する80年代、
「おしりだって、洗ってほしい」の神コピーライトを号砲に普及が加速した温水洗浄便座。
現在、普及率は80%に達する身近な家電製品ですが、意外と知られていない製品の特性、背景などを温水洗浄便座の普及期に関わった元内側の人の視点でシェア、おすすめの製品をご紹介致します。
温水洗浄便座の概要
温水洗浄便座は1960年代に海外製品の輸入からはじまり、国内での開発、製造によるブラッシュアップのプロセスは自動車などの多くの工業製品と同じです。
自動車や家電製品と違うところは、製品単体では機能せずに住宅(建築)に設置され機能する住宅設備機器である事です。すなわち、建築関連の法令、業者、施工、商習慣に属する製品である事です。
この建築業界の観点より、温水洗浄便座を考察するとより製品の理解が深まります。
90年代の本格普及期~2000年初頭で製品の基本仕様は完成している
80年代の本格普及期から40年近く歴史がある温水洗浄便座ですが、実質製品の基本仕様は普及率が50%に近づく90年代後半~2000年初頭には確立されており、その後大きなブレイクスルーは実質ありません。
ここでは温水洗浄便座の形状、給湯方式のそれぞれ2パータンを確認致します。
形状、設置形態は2パターン ①シートタイプ ②トイレ一体型
温水洗浄便座の形状として2パターンあります。①シートタイプはその名の通り便座の形状で、広く認知されている”ウオシュレット”の認識です。②トイレ一体型は便座とトイレのタンクが一体化した形状で、トイレのタンク内に温水洗浄の機能部が内蔵されております。
では、それぞれのメリット、デメリット、背景を確認致します。
①シートタイプ
②トイレ一体型
住宅購入時に、実際にトイレの細かい仕様までは打ち合わせしないケースがほとんどではないでしょうか。おそらく1F、2Fウォシュレット付きの仕様書の確認程度が現実です。
上述のように一体型はどちらかと言えば、建築業者サイドのメリットより新築メインで普及した温水洗浄便座です。年間何百棟も手掛けるハウスメーカー、ホームビルダーにとっては、施工が早く、コストパフォーマンスに優れた一体型が採用されました。
では供給するメーカーサイドの状況です。温水洗浄便座は高度な水圧、温度の制御が必要な製品です。国内の上水道の水質は安定しておりますが、水圧に関しては場所によりばらつきがあります。また、四季により水温も変動する外部要因も考慮し設計されております。国内、海外での温水洗浄便座の普及率の差の要因でもありますね。
この難易度の高い製品の製造は、自動車関連の大手精機メーカー等が受託する連携で実現しております。企画、設計は住設メーカー、製造は○○製作所、○○精機のイメージです。
シートタイプは外注しているが、一体型は自社で組み立てを行っており利益率が良いケースもあり、アフターメンテナンスでユーザーを囲い込み出来る要因から新築市場では一体型が普及しております。
温水洗浄便座は2形状(①シートタイプ ②一体型)です。一体型は新築メインでどちらかと言えば建築サイドの事情で普及した製品。
本サイトではユーザーメリットよりシートタイプをおすすめ致します。
とは言え、トイレ一体型温水洗浄便座には個性的な製品もあり、常にトイレの進化を模索しております。
給湯方式は2パターン ①貯湯式 ②瞬間式
続きまして、温水洗浄便座の給湯方式の確認です。こちらも①貯湯式②瞬間式の2パターンがあります。
それぞれのメリット、デメリットを確認致します。
①貯湯式
その名の通り、温水洗浄便座の横袖、本体部の温水タンクに貯湯し洗浄のお湯を供給する方式。普及グレードの位置づけです。
②瞬間式
その名の通り水道水を温水洗浄便座で作動時に瞬間にお湯にする方式です。技術的に高度な製品で上位グレードの位置づけです。
貯湯式/瞬間式の違いに関しては下記にて深堀りいたします。
2000年開始の省エネルギーラベリング制度で流れが変わった
下記テーブルは何のランキングが分かるでしょうか
1位 | 冷蔵庫 |
2位 | 照明器具 |
3位 | エアコン |
4位 | テレビ |
5位 | 温水洗浄便座 |
いわゆる家電製品において、家庭部門で電気使用量のランキングです。
年中通電している温水洗浄便座はメジャーな家電製品と上位にランキングされております。
そして、これら上位の該当製品に関しては省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)によりメーカーがカタログや家電本体、包装などに「省エネルギーラベル」を表示する義務が発生。
この省エネルギーラベルは省エネ法で定めた省エネ性能の向上を促すための目標基準(トップランナー基準)の達成度合いをラベルに明記するものです。
当然、温水タンクで24時間保温している貯湯式の温水洗浄便座の達成率は低く、メーカーサイドとしては節電機能の追加により温度設定を低く抑える等の仕様変更でしのぐ対応が必要でした。
それでも貯湯式の省エネ達成率はぎりぎり100%に持って行ったのが実情です。
確かに、1日数回しか使わないトイレで、温水・便座を保温し続ける事はエネルギーのロス以外の何物でもありませんね。
そこで着目されるのが、使用時のみお湯を温める瞬間式の温水洗浄便座なのです。使用時の定格はドライヤー並みの消費電力ですが、年中通電しているより電力消費は少ない仕様です。
当サイトの温水洗浄便座使用方法のご提案
省エネ法のやり玉に上がる製品でエネルギー消費は無視できない状況下、温水洗浄便座の設置において当サイトでの独自の見解をご紹介します。
上述の通り、シートタイプで瞬間式の温水洗浄便座をおすすめ致します。
「おしりだって、洗ってほしい」の本質に立ち返り、すこし尖った見解ですがご参考下さい。
暖房便座機能はOFF
一日数回の使用の為に常時通電などナンセンス。生活消費材メーカーより優れた便座カバーが各種販売されております。便座など温めなくても便座カバーで十分、定期の洗濯でより衛生的です。
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脱臭機能について
ほぼ無意味、トイレの換気扇で十分です。即効性が必要なら生活消費材メーカーの消臭スプレーの方が有効です。脱臭カードリッジはいずれ埃がたまり脱臭ファンの異音につながるので、むしろカードリッジなど抜いてしまえ。
そもそも、トイレのにおいの元は小便時の飛沫が床や便器周りに付着したアンモニア臭です。
便座カバー、トイレマット含めこまめな清掃で物理的にアンモニア臭は除去できます。
価格:2590円 |
温風乾燥について
機能はあるが、使っている人を見たことがありません。不要です。
便フタ、便座のオート開閉について
いずれ開閉モーターが故障し無駄に高いメンテナンスコストとなるので不要です。トイレに触るのが汚い、抵抗感があると感じる心の方がよほど荒んでいる。むしろ汚いと思うのであればこまめに清掃すれば良い。
こちらも消費財メーカーから優れた製品が提供されております。
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自動洗浄レバー連動機能について
温水洗浄便座の電源から連動し、トイレタンクのハンドルをモーターで作動させる機能です。コンビニのトイレなどで搭載されておりますが、かなりの確率で自動洗浄ハンドルは故障しております。
家庭で使用する場合もハンドルのモーター固定ナットを定期的に締め直す等のメンテナンスは必要です。故障した際、後継の温水洗浄便座と連動するのか等も想定されますので不要です。
除菌○○などの防汚機能について
衛生陶器はその名の通り衛生面に優れた素材。焼き物としてとらえるなら何千年もの歴史のある技術。素材の安定性は割らなければ半永久、汚れに強いから使われていおり防汚技術などそもそも不要。
先述しましたがトイレのにおいはトイレ鉢外に飛び散った小便飛沫です。鉢内は生活消費材メーカーの優れた清掃グッズでこまめ掃除すれば問題なし。
衛生陶器の唯一の弱点は表面のガラス質に水道水の鉱物(シリカ)が結合する汚れです。いわるゆ「さぼったリング」です。こちらは細かい水ペーパーで磨き除去すれば問題なし。
何年使おうが除去できます。TOTO、INAXの窯業技術の高さは言うまでもありまん。
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本体スライド着脱・ノズル掃除機能は必須
繰り返しですが、トイレのにおいの元は小便飛沫、温水洗浄時の飛沫汚物です。温水洗浄便座と便器の間には当然洗浄飛沫が飛びます。定期的に本体を着脱し中性洗剤で清掃が必要です。
同様に洗浄ノズル本体にも汚物は飛散する為、こちらも定期的に清掃する必要性があります。
簡単にスライド着脱する点からも貯湯タンクがなく、薄型・軽量な仕立ての瞬間式温水洗浄便座が最適なのです。
温水洗浄便座は家電製品です。取り換えも念頭にシートタイプを選択。
すこし極論かもしれませんが、
瞬間式でシンプルな機能の製品を普段は電源OFFにし、大便時に電源をONにし使用するが最適解である。
*あくまで個人の見解です
おすすめの瞬間式温水洗浄便座
かなり前置きが長くなりましたが、ランニングコスト/省エネ性から瞬間式の温水洗浄便座でおすすめ3製品をご紹介致します。
TOTO製、INAX製の温水洗浄便座は長年のリサーチで培われた企画・設計力とグローバルな連携企業との生産体制もあり、使い方によっては20年使用されるケースもある品質です。
本来なら家電製品なので10年が限界ですが、耐久消費財としての側面からある程度のコストをかける必要があります。
#1 TOTO/アプリコット/タイプ:F1
暖房便座のような薄さ、清掃性を追求したモデルです。
長く使用する事を想定し、飽きの来ないシンプルデザイン、機能を絞ったF1グレードがおすすめ。
電源ボタンはありませんが、暖房便座はOFFで使用もありです。
【2023年8月発売最新モデル】
アプリコットF1詳細スペックはこちら
価格:76,997円 |
【旧モデル】
旧モデルでもOK、在庫限り・・むしろお買い得かも 急げ
TOTO TCF4713R #NW1 ホワイト アプリコット F1 [温水洗浄便座(瞬間式)] 価格:53800円~ |
#2 INAX/RAシリーズ/タイプ:RAA2
貯湯式での洗浄力が売りであったINAXは、洗浄力が劣る瞬間式の展開で遅れましたが、2000年初頭にパッソを投入。瞬間式でもパッソE40系、E50系は安定の品質でした。
RAシリーズは量販店向け製品ですが、リモコンに電源ボタンあり、女性用にレディースノズルが搭載されている点でおすすめの1台です。
INAX CW-RAA2 BN8 [オフホワイト] Y通常配送商品 価格:38,800円 |
#3 TOTO/KSシリーズ
TOTO量販店向けモデルで最安値の瞬間式温水洗浄便座です。
アプリコットと比較すると分厚く感じられますが、シンプルで十分な機能を備えた製品です。
本体スライド着脱用の便器側固定プレートも清掃しやす形状です。
電源ボタンはないので、暖房便座はOFFで使用しましょう。
TOTO TCF8CS67 #NW1 ホワイト ウォシュレット KSシリーズ [温水洗浄便座(瞬間式)] 新生活 価格:32,800円 |
量販店向け/リテールモデルについて
先述のとおり、温水洗浄便座は建築商流がメインの商材です。メーカーはメインである建築商流のカタログ品価格との整合性をとる為、量販店向け(リテール)モデルを展開しております。
量販店向けモデルは細々した部材は若干のコストダウンはありますが、基幹部品は同じです。
他家電系メーカーとの競合もあるので、エンドユーザー向けの商品として選択はありです。
おすすめの温水洗浄便座おわりに
温水洗浄便座の本格普及期から20年です。トイレに温水洗浄便座が設置されている場合、取り換えは簡単です。
省エネ法の背景、ランニングコストからも、温水洗浄便座の取り換えは瞬間式をご検討されてはいかがでしょうか。おすすめ3製品の紹介でした。
ご拝読ありがとうございました。